一
腰のシーナイフにすがりつき
ついてゆきますどこまでも
ついてゆくのは易けれど
女乗せない三号艇
ニ
女乗せない三号艇なら
長い黒髪断ち切って
可愛いクルーになりすまし
ついてゆきますどこまでも
三
四年三年じじくさい
二年それぞれ彼女あり
かわいい一年にゃ金がない
女泣かせのヨットマン
四
いいじゃありませんかヨットマンは
ぼろのズボンにぼろのシャツ
ぼろのヨットに乗ってても
腕は確かなヨットマン
五
いいじゃありませんかヨットマンは
かけた茶碗に折れたはし
くされずっぺにくされ飯
それでも生きてるヨットマン
六
いいじゃありませんかヨットマンは
太い腕に黒い顔
きりりとしまった口元が
ぐーっといかすぜヨットマン
七
浜の娘が噂する
愛しあの人ヨットマン
お嫁にゆくならヨットマン
今夜も楽しい夢を見る
永遠の幸
札幌農学校(北海道大学)校歌 大和田建樹氏 校閲
有島武郎君 作歌
一
永遠の幸 朽ちざる誉 つねに我等がうへにあれ
よるひる育て あけくれ教へ 人となしし我庭に
* イザイザイザ うちつれて 進むは今ぞ
豊平の川 尽せぬ流れ 友たれ永く友たれ
二
北斗をつかん たかき希望は 時代を照す光なり
深雪を凌ぐ 潔き節操は 国を守る力なり
*繰り返す
三
山は裂くとも 海はあすとも 真理正義おつべしや
不朽を求め 意気相ゆるす 我等丈夫此にあり
*繰り返す
明治45年度寮歌
横山芳介君 作歌
赤木顕次君 作曲
一
都ぞ弥生の雲紫に 花の香漂ふ宴の筵
尽きせぬ奢に濃き紅や その春暮れては移らふ色の
夢こそ一時青き繁みに 燃えなん我胸思いを載せて
星影冴かに光れる北を
人の世の 清き国ぞとあこがれぬ
(ニ~五番略)
富貴名門の女性に恋するを純情の恋と誰がいうぞ。
暗鬼紅灯の巷に彷徨う女性に恋をするを不情の恋と誰がいうぞ。
雨降らば雨降るもよし風吹かば風吹くもよし
月下の酒場にて媚を売る女性にも純情にして可憐なる者あれ。
女の膝枕にて一夜の快楽を共に過さずんば人生夢もなければ恋もなし。
響く雷鳴 握る舵輪 睨むコンパス六分儀
吾等海行く鴎鳥 さらば歌わん哉
吾らが水産放浪歌 アイン・ツヴァイ・ドライ
一
心猛くも鬼神ならず
男と生れて情はあれど
母を見捨てて浪越えてゆく
友よ兄等よ何時また会わん
二
朝日夕日をデッキに浴びて
続く海原一筋道を
大和男子が心に秘めて
行くや万里の荒波越えて
三
波の彼方の南氷洋は
男多恨の身の捨てどころ
胸に秘めたる大願あれど
行きて帰らじ望みは待たじ